旧暦と新暦を正しく理解して日本の四季のうつりかわりを知ろう
暦の大切な役割として、季節のうつりかわりを伝えることがあります。
旧暦では季節の中で今がどんな時期なのか、旬な食べ物は何かを教えてくれます。
この季節の目安が、二十四節気や七十二候、五節句、雑節です。
月と日付けだけではつかみきれない季節のうつりかわりを、きめこまかく表してくれています。
日本の良さである「四季」のうつりかわりを知るためには暦を知ることが重要だと私は考えます。
旧暦と新暦の関係、二十四節気や七十二候、五節句、雑節を一緒に四季を感じながら見て行きましょう!
旧暦と新暦
旧暦だと1年が13か月の年がある
現在私たちが使っているのは、新暦であることはあなたもご存知ですね。
旧暦の春夏秋冬と、新暦の春夏秋冬とは実はちょっと違うんです!
気象庁の季節区分は、春3月~5月、夏6月~8月、秋9月~11月、冬12月~2月。
一方の旧暦は、春一月~三月、夏四月~六月、秋月七~九月、冬十月~十二月です!
旧暦と、私たちが慣れ親しんでいる新暦とでは、季節感にズレが生じています。
5月5日の端午の節句は春と思っていますが、旧暦では立夏、季節は夏です。
8月の旧盆は、立秋にあたり、季節は秋なのです。
旧暦に対して、新暦と呼ばれる太陽歴は、太陽とのズレが少なく、4年に一度1日調節して誤差を修正(うるう年ですね)します。
一方、旧暦である太陰太陽歴はズレが大きく、数年に一度大幅なズレの修正が必要になります。
19年に7度、1年が13か月になるうるう年を設けてズレを修正していました。
旧暦では、この区分に「二十四節気」を加えます。
二十四節気と旧暦を合わせることで、詳しい季節がわかります!
季節を知るための工夫、二十四節気
一年間の太陽の軌道を15から16日に分けたのが「二十四節気」です。
太陽の通り道に二十四の名をつけました。
これは、農業と季節のうつりかわりの関係を知るために、基準点として考えられたものです。
昼が最も長い「夏至」、夜が最も長い「冬至」の「二至」で2等分します。
さらに昼の長さと夜の長さが同じになる「春分」「秋分」の「二分」で4等分になります。
これで、夏至・冬至・春分・秋分が基盤となりました。
そして、その間に立春・立夏・立秋・立冬の「四立」を入れて、全体を8等分して、さらに雨水、啓蟄など季節の変わり目を示す特殊な呼び名をその間にあてはめて「二十四節気」としたのです。
旧暦の春夏秋冬と、太陽による「二十四節気」を組み合わせてはっきりと季節を実感することができると思いますよ。
二十四節気と行事
昔の日本人は「二十四節気」に合わせて毎年決まった行事を行ってきました。
お正月には門松を置き、鏡餅を供えて、おせち料理を食べて、初詣で出かけていました。
それらはすべて年神様を迎えるためで、なぜ松や丸餅なのか、数の子、栗きんとんなのか、それにはすべて「季節」が絡んだ理由がありました。
お正月、節分、ひな祭りといった、現在も受け継がれている大きな行事以外にも、様々な風習もあります。
例えば、猛暑が続く夏には涼を得るために打ち水をする、梅雨が明けて爽やかになる気候になると、畳干しや虫干しを行いました。
こうした生活の知恵も合わせて行事を見てみると、四季を感じながら昔ながらの暮らしに触れることができ、より一層生活が楽しくなります。
ひな祭りに桃の花が咲いていない理由は
旧暦が廃れて季節感を失った日本人
季節のうつりかわりがわかりやすい旧暦が使われなくなって私たち日本人は、季節感を失った感じが私はしています。
昔は、野菜、魚介類などはその季節しか味わえず、毎年旬を楽しみにしていました。
今では、ハウス栽培、輸入によりどんな野菜、魚介類も一年中手に入るようになりました。
便利さと季節を実感することが引き換えになった感じですね。
明治時代に暦は変わった
昔は、すべての年中行事が旧暦に基づいて行われていて、季節感や旬が大切にされていました。
しかし、それが明治時代に新暦に変わって年中行事の日付けは3種類になりました。
これはどういうことかと言えば
・旧暦のままの日付けに行う行事
・旧暦の日付けに近づけるため、旧暦の日付けを新暦に置き換えて、1か月送られた行事
・旧暦の日付けをそのまま新暦に置き換えた行事
の3種類になったということです。
旧暦の日付けをそのまま新暦に置き換えた
正月や五節句などの行事、神社仏閣の年中行事の多くは、旧暦の日付けをそのまま新暦に置き換えた状態で行っています。
そのため、旧暦から1か月も旧暦の日付けと大きくズレて年中行事行うこともあり、行事と季節感にズレが生じ混乱も起きることになりました。
例えば、3月3日は桃の節句なのに桃が咲いていない、7月7日の七夕は梅雨なので、青空がなかなか見られない。
このように新暦では本来行われるべき季節に行われなくなり無理が生じているわけです。
暦と年中行事で日本の良さと取り戻す
新暦では、年中行事本来の意味や季節感を感じづらくなっています。
五節句などは旧暦に基づいて行って、日本の良さを取り戻すというのも良いのではないかと私は思います。
雑節とは
古代中国で作られた「二十四節気」に対して「雑節」は日本特有の季節変化や慣習から生まれた節目です。
太陽の運行に基づいて作られていて、農作業や生活の目安として、日本人の暮らしに密接していたものです。
節分、彼岸、社日、八十八夜、入梅、半夏生、土用、二百十日、二百二十日の9つを指します。
雑節は、行事とともに日本では大切にされてきました。
七十二候
15日単位の「二十四節気」を5日ごとに初候、次候、末候に分けて季節のうつりかわりを詳しく知らせるのが、「七十二候」です。
古代中国で作られた「七十二候」は中国の気候などを反映しているので、日本には合わない点も多くあって日本で改定されています。
二十四節気や雑節に見られる天候
二十四節気では、「清明になると雪が降らなくなる」「穀雨になると霜が降りなくなる」
雑節では、「暑さ寒さも彼岸まで」「八十八夜の忘れ霜」などの有名な言い伝えがあります。
二十四節気、雑節は例年と捉えているので、これを旧暦に入れて見ることで例年と比べてその年はどうなのかがわかることになります。
異常気象は実は誰でもわかる
新暦・二十四節気と旧暦を組み合わせて見る
新暦・二十四節気と旧暦を組み合わせて見れば例年と比べてその年はどうなのかがわかることになります。
この例年と比べてズレが大きい時が、「異常気象」と言われていることですが、旧暦を組み合わせて見れば、実は誰でもわかることなのです。
例えば、旧暦1月1日が立春よりも先だと例年より早く春らしくなり、(2014年、立春より4日早い)
旧暦1月1日が立春よりも後だと例年より遅い春の訪れとなるわけです(2015年、立春より15日も遅い)。
旧暦と新暦の関係、二十四節気や七十二候、五節句、雑節をそれぞれ見てきました。
身近にある新暦と旧暦や二十四節気などを組み合わせて見ると四季のある日本の良さ、季節のうつりかわり、行事の本来の意味・意義などいろいろなことがわかってきます。
二十四節気や七十二候が載っている手帳やカレンダーを使って今の生活に取り入れると何か変化があるのではないでしょうか、日本に生まれたことを楽しみたいものです。
こちらの記事もオススメします(^^)
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http://reliancemorita.net/post-1625
この記事は下記の本を参考にさせていただきました。
ありがとうございました。
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旧暦を暮らしを取り入れて、季節の変化を楽しむための手引き書。季節ごとの行事や植物、食べ物、遊びなどを豊富なイラストで紹介する。
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